POMRシステムカルテ | POMRコラム | 日本ビスカ株式会社日本獣医学フォーラム代表 石田卓夫先生によるPOMRコラム

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動物病院アイテム

POMRコラム

POMRはサイエンスである

日本獣医学フォーラム代表
赤坂動物病院 医療ディレクター
石田卓夫先生

POMRとは、患者の持つ問題点をみつけ、その問題点が起こる生理学的、病理学的機序を理解し、根底の問題点を突き詰めて診断する方法である。

すなわち、元気消失や腹囲膨満という患者の問題点から、なぜ元気消失が起こるのか、なぜ腹囲膨満が起こるのかを追及して行くことからはじまる。元気消失のような漠然とした問題点からは、それが起こる原因は多すぎて列挙できないので、スクリーニング検査に進み、元気消失と関連ありそうな異常を探す。

そしてそこで得られた次の問題点、たとえば貧血というものを次の問題点としてとらえ、ではなぜ貧血が起こっているのか、たとえば再生性貧血であることがわかったら、その動物種で再生性貧血が起こる原因は何だろうかと列挙してみる。そうすると、出血と溶血が浮かび上がり、総蛋白の下降がなく出血所見がなければ、溶血ではないかと考える。

それでは溶血が起こる原因は何かと、すべての可能性を列挙し、その中から可能性の高いものを探す。このようにして最終的な診断名に到達する。

腹囲膨満であれば、鑑別診断はおのずから、腹水貯留、腹膜脂肪の増加、腹腔内マス、といったものが浮かび上がる。ここで、ある一つの疾患名を決めつけるのではなく、どの可能性もあると考え、あるいは二つの病気があるかも知れないと考え、これらを検出、除外できる検査を考えてみる。

そうすると、腹部X線検査と腹部超音波を行えば、これらの診断は可能ではないかと考え、まずそれらを実施する。そこで腹水所見がみられたとすると、それでは腹水は何で貯留しているのだろうと考えてみる。腹水の鑑別診断は、おおまかにわけて漏出液、滲出液、変性漏出液である。そのためには、腹水を採取して性状をまずみたらいいと次に考え、腹水の検査に進む。このように、問題点から次の問題点をみつけ、その段階で鑑別診断リストが作れたら、すべての可能性をひとつ一つ考えて行く。

このように、病気を決めつけて診断するのではなく、すべての可能性の中から一つに絞り込んで行く作業、これがPOMRによる科学的な思考法である。

POMRを実施するためには、一定の方法で身体検査、問診など のデータをもれなくとっていくことから始めなければならない。その意味で、POMRカルテシリーズは、獣医師のPOMR的思考をサポートし、より正しい診断に導いてくれるツールである。

ともすれば忙しい臨床の中で、物事を忘れてしまうことは多い。しかしながら、POMRカルテに沿ってデータを集めていけば、患者のミニマムデータベースはもれなく集められるように設計されている。